5月18日から5月31日までLockdown第4弾に突入
1、最近のコロナウィルスの状況
(1) 2020年5月17日時点で、世界では累計感染者数469万人、死者は31.3万人。インドでは累計感染者数9万人、死者2872人。日本では累計感染者数16253人、死者729人です。インドでは感染者数を抑制するためにロックダウンを延長したいものの、経済面で影響が強く出すぎているため、経済活動再開の方向にシフトしています。
(2) 2020年5月12日にモディ首相は国民に向けてテレビ演説を行い、20兆ルピー(約30兆円)の経済政策を実施するという発表をしました。この政策の名前はAatma Nirbhar Bharat(आत्म निर्भर भारत)といい、「自立したインド」(Self Reliant India)という意味を指すようです。このコンセプトは、インドの産業を育て、世界情勢に影響されにくい国家になろうというものです。
2020年2月の予算発表でも明言された”Make in India”と方向は同じでしょう。インドは慢性的に輸入超過の国となっており、輸出できる産業を育てることは長年の課題です。モディ首相は一つの例として、PPE(感染防止の個人防護具)を当初は自国で作成することができなかったが、今では20万セット製造しているということに言及しました。
今回のスピーチでは、「自立したインド」に向けて、5つの柱が発表されました。それは経済、インフラ、システム、人口動態、需要、です。インドのインフラは、道路や電気、上下水道等、多くの点で課題とされているところだったこともあり、改めてテコ入れをすることが発表されました。また、中小零細企業(MSME)及び農業の支援が今後手厚く行われると発表されました。今回ロックダウンの影響を強く受けたのは中小零細企業や農家などの低所得者層でした。彼らの支援は政権の安定のために欠かせないものです。
モディ首相は20兆ルピーの使われ方に関して、後日財務省から発表が行われる、と述べて詳細はニルマラ・シタラマン財務大臣に委ねました。財務大臣は5月13日から5月17日にかけて、5回に分けて、各業界での政策を発表しました。今後のインドの産業がどこまで強くなるか、に期待がかかります。
2、内務省(Ministry of Home Affairs)がロックダウンの延長を発表しました。
前回の5月1日に発表された5月17日までのロックダウンよりも複数の点で規制が緩和されました。
僕なりの要点の整理は以下の通りです。
主な規制が強まった事項:
・Containment zone では感染者の経路の把握のための規制がより強まりました。これは感染者が爆発的に増えている以上仕方のないことと言えるでしょう。
主な規制が維持される事項:
・メトロ等の電車の利用は貨物利用や特別に許可された場合以外原則として禁止されたままとなります。
・国内・国際線の旅客機は引き続き原則運行停止です。
・職場等でのAarogya Setuアプリの推奨すること。
・引き続きできる限り在宅勤務を推奨すること。
・職場や各種移動等に際してはSOPs(Standard Operation Procedures)に関する各種通達を作成、遵守すること
主な規制が緩和された事項:
・道路による州間移動(自家用車、バス、タクシー)が各州や直轄領政府の相互の許可があれば可能となりました。5月17日までは、州間の自動車による移動は特別な許可を取ることが原則だった(警察によって対応が別れるグレーゾーンだった)のですが、今後は州政府の方針により原則許可・原則禁止・条件付き許可、等の手段が取られる予定です。
・レッドゾーンでの散髪屋が解禁。レッドゾーンが多いデリー準州の方には朗報でしょう。
3、5月17日発表のロックダウン延長に関してゾーンごとの許可行為のまとめがTimes of India のネット記事に上がっていました。大変わかりやすいです。
[https://timesofindia.indiatimes.com/india/lockdown-4-0-heres-what-is-new/articleshow/75791271.cms]