井の中の蛙、インドへ

インドで学んだことを書いていきます。よろしくお願いします!

日印租税条約の各種PEに迫る

[前置き]

 最近のコロナの動向です。世界の感染者数は782万人、死者は43.2万人。インドの累計感染者数は34.3万人、死者は9900人。日本では累計感染者数17587人、死者927人です。

 インドでは、5月以降急増しており、ロックダウンを早く解除しすぎたという批判が見られますが、経済状況を踏まえると苦肉の策として受け入れるしかないと考えられます。今後は各企業が如何にリスクをヘッジしつつ業務を遂行していくかという勝負となるでしょう。

 最近のニュースとしてはアメリカで盛り上がっている黒人への人種差別反対のデモ活動でしょう。524日に、ミネソタGeorge Floyde氏という黒人が白人警察官に取り押さえられている間に死亡したという事件がありました。これを受けてアメリカ全土で人種差別反対のデモが勃発したのです。#BlackLivesMatterというワードが3週間以上、連日ニュース等で見られました。現在も世界各地でデモの動きが見られます。

 僕個人的には、人種差別のある社会というのは能力主義が十分に浸透していない環境で生じるものだろうと感じます。個人的にアメリカンフットボールをよく見るのですが、ここでは、完全なる能力主義が取られています。資本主義がスポーツ界に浸透して、各チームにとって勝利こそが最重要課題となったために白人至上主義が撤廃されていき、身体能力やチームに貢献する能力で選手を選抜する方向に動いたのです。今では大学アメフト、プロリーグ共に黒人の方が多くプレーしています。ビジネスの世界も、同様で、他者との競争を考えた時に、人種に関わらず結果を出す人が採用されるというのは至極真っ当な結論でしょう。いちばんの問題は、このような評価が適用されない場面での人種差別です。警察による逮捕、投獄、医療、単純労働者の就職・労働などです。今回のGeorge Floyde 氏の事件は、氏が偽造通貨を使用して商品を購入したとして逮捕された時に起きたものでした。これらの場面での差別をなくすためには政治家や一定の発言力を持った人が動かないとどうしようもないと思われます。このような悲しい事件が起きないように政治、メディア、社会活動かなど、多くの人が団結して社会を変えていく必要があるでしょう。

 実際、アメフトのプロリーグであるnfl(National Football League)も公式声明を発表して、人種差別の撤廃の必要性を宣言しました。他の多くのプロチームやカレッジのチーム、NCAA、選手など、多くの関係者が声明を発表しました。多くの人が沈黙は悪というコメントを添えていたのが印象的でした。

 最近のニュースとして世間を賑わしていたものとして、Jio Platforms の株式約22%(約15000億円相当)がフェイスブック(9.99%取得)及び複数のアメリカ系ののPEファンドとアラブ首長国連邦の政府系ファンドに売られるということがありました。Jio Platforms 社は、2019年にインドの財閥の一つであるReliance Industries Limited (RIL)からデジタルビジネスを切り離して設立されたRILグループ最大の子会社です。Jio Platform 社の20205月時点での企業価値72000億円相当以上と見積もられています(ウィキペディア)。Jio Platforms社の完全子会社にはJio社があります。Jio社は38750万人の利用者を擁するインド最大の携帯電話会社で、世界では3番目に大きいものです(ウィキペディア参照)。フェイスブックの眼目はずばり、インドの携帯電話利用者のデータの取得といって間違いないでしょう。あらゆるデータの価値が高まりを見せる社会で、インドの潜在的保有する資産価値は現在十分に金銭的価値に置き換えられているとは考えられません。今後さらなる市場の拡大と企業価値の向上を見越しての決断でしょう。フェイスブック以外の巨大ファンドがこのインドのデジタルビジネス会社の株に数千億円相当を注ぎ込んだのは、マネーゲームとみられます。インド携帯電話市場への投資がいかに魅力的な投資先かを示しているといって問題ないでしょう。インドの携帯電話市場及びそれに関連するオンラインサービス市場は将来想像を絶する市場を形成していることでしょう。大変楽しみです。

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Mukesh Dhirubhai Ambani(63)はリライアンスグループのトップであり、総資産は20206月時点で約6兆円相当とみられています。現在アジアで最も裕福な人と言われています。同時期の孫正義さんは24千億円相当とのことです(*0)。

 

 

 

さて、今回は日印租税条約とPE(恒久的施設)について自分の勉強も兼ねて書いてみます。

1、日印租税条約における恒久的施設(PE)について。

 

租税条約とは、何かというと、国際取引から生じる所得について、居住地国と源泉地国の課税のあり方を調整することで国際投資や国際通商を促進するための国家間の取り決め、ということができます。

日印租税条約に限りませんが、租税条約及び各国の租税法において、恒久的施設(Permanent Establishment, PE)に関する規定がなされるのが通常です。PEとは、乱暴にいうと、企業が自社のビジネスの全部又は一部を行う拠点です。日本企業のPEが日本にあるのは自然なことで、税務上特に問題はないのですが、インドにある場合には、インドの国益を日本に持ち出す拠点となるため、インド政府はこれに対して特に課税をする必要があるのです。

租税条約上問題となるPEとは、国外居住者と同視できる拠点のことです。国外居住者は、本国に利益を持ち出すことが前提とされているため、拠点のある国で十分な税金を確保するために、PEのあげた利益にはPEの所在する国で課税をするということが必要となるのです。例えば、日本企業のPEがインドにあった場合、日本企業はその利益を出来る限り多く日本に持ち帰ろうとします。一方、インド政府は、日本企業のPEがインドの資源を利用してあげた利益については、全額日本に持ち帰らせず、インド国内で納税をすることを求めます。インド居住者たる法人等の拠点はインドに利益をもたらすことが前提とされているため、税率は低い(1年間の課税所得に対して約27%)ですが、PEとなると急に税率が上がる(PEを通して行われた各取引の売上総利益の約43%)ため、注意が必要です。

下記では、日印租税条約5条によってPEがどのように規定されているのかと、その留意点等をみてみます。

 

2、恒久的施設の定義(51)

「事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所をいう」と規定されます(日印租税条約5条1項)。

英語版だと

permanent establishment means a fixed place of business through which the business of an enterprise is wholly or partly carried on.(Paragraph 1 of Article 5, the India Japan DTAA)

と書かれています。日本語の方は意味がわからないですが、英語の方は言いたいことがわかります。要するにある企業が自社のビジネスの全部又は一部を行う拠点です。この条文単独によって恒久的施設の認定されることはなく、実際には52以下の個別の規定によって認定がなされます。

 

なお、日印租税条約締結の際の使用言語に関してですが、2006年の議定書への署名の際に日本語、ヒンディー語、英語の3通の租税条約が作成されました。そして、2006年の日印租税条約締結の際の議定書には、最後の部分に以下のような一文が書かれています。

「二千六年二月二十四日に東京で、ひとしく正文である日本語、ヒンディー語及び英語により本書二通を作成した。解釈に相違がある場合には、英語の本文による。」

つまり、日印租税条約の条文を読む際には英語の条文は無視できないということです。(*1*2)

 

3、場所PE(Fixed place PE)(52)

一定の不動産の上に拠点を構えた場合の、その場所をPEとみなすものです。支店(a branch)、工場(a factory)、作業場(a workshop)、店舗その他の販売所(a store or other sales outlet)、などです。

日本企業がインドに子会社のような形で法人を設立した場合には、原則としてこれに含まれません。インドで法人を設立した場合、インド法人から株主である日本本社に送金をしようとしても、それが配当による還元や借金の形をとらざるを得ないなど、制約が多く、原則としてインド国内で資本を利用することが求められます。一方で支店の場合は原則として、支店であげた純利益のうち、営業によってあげた利益であると証明した場合にはインド準備銀行(RBI)の承認なく送金できるなど、制約が少ないのです(*3)。このような事情もあり、支店はPEとして扱い、法人税率を高く設定することになるのです。支店に限らず、法人以外の拠点の多くは同じような扱いとなります。ただし、駐在員事務所は法人ではないもののPEとならないとされています。これは下記(4)で触れます。

 

4、出向者PE(Service PE)

出向者PEとは、一方の締約国の企業の従業員が他方の締約国の企業等に出向して一定のサービスを提供した場合に当該他方の国の企業等が一方の締約国の企業のペと認定されるということをいいます。例えば、日本法人がインドに対して場所PE等を有していない場合であっても、日本法人で雇用されている人材をインドの拠点に送って、インドの拠点にて日本法人が利益を上げるための活動に従事していればそのインド拠点はPEと認定されます。

これに関して、日印租税条約には規定がありません。しかし、米印租税条約など、各国の租税条約には規定があります。そして、租税条約の趣旨が税源侵食の防止にあるということから、日印租税条約においても、サービスPE51項又は2項類推適用を根拠として認められると考えられています(*4)

参考として米印租税条約5条(2)(l)の条文を載せておきます。これがサービスPE認定の一つの基準となることは確かでしょう。

[米印租税条約5(2)(l)]

the furnishing of services, other than included services as defined in Article 12 (Royalties and Fees for Included Services), within a Contracting State by an enterprise through employees or other personnel, but only if: 

(i) activities of that nature continue within that State for a period or periods aggregating more than 90 days within any twelve-month period ; or 

(ii) the services are performed within that State for a related enterprise [within the meaning of paragraph 1 of Article 9 (Associated Enterprises)]. 

 

過去の判例を見ると、出向者の給与が本国法人から支払われているか、本国法人によって一定の額保証されている場合には、サービスPEと認められやすくなることがわかります。例えば以下の判例などです。

 

  • reference was made to Para 17 of the judgment in DIT v. Morgan Stanley (2007) 7 SCC 1, where the Court held:

17…… It is important to note that where the activities of the multinational enterprise entails it being responsible for the work of deputationists and the employees continue to be on the payroll of the multinational enterprise or they continue to have their lien on their jobs with the multinational enterprise, a service PE can emerge.

 

5、建設PE(Construction PE)(53, 4, 5)

日印租税条約53には、「建築工事現場又は建設、据付若しくは組立工事は、六箇月を超える期間 存続する場合に限り、「恒久的施設」とする。」との規定がなされています。

さらに、日印租税条約54項には、「企業が一方の締約国内における建築工事現場又は建設、据付若しくは組立工事に関連して、六箇月を超える期間、当該一方の締約国内において 監督活動を行う場合には、当該企業は、当該一方の締約国内に「恒久的施設」を有し、当該「恒久的施設」を通じて事業を行うものとされる。 」との規定があります。

 

先進国が発展途上国と租税条約を締結する際には建設PE認定範囲は広くなる傾向になります。例えば、5条3項の建設PE認定のための期間について、日本が他の先進国と締結する租税条約ではこの期間は12ヶ月とされることが多いです(日米租税条約など)。また、日本が他の先進国と締結する租税条約には、54項のような規定はありません。例えば、日本法人が建設工事の監督のみを行い、実際の建設工事は現地企業が行うという場合、日印租税条約上はPEがあると認定されますが、日本と他の租税条約の間ではPEと認定されません。

6、準備的、補助的な活動(56)

日印租税条約56(a)には以下のように規定されています。

条約第五条の規定にかかわらず、次の活動を行う場合には、「恒久的施 設」に当たらないものとする。ただし、その活動(次の(c)の規定に該当 する場合には、次の(c)に規定する事業を行う一定の場所における活動の 全体)が準備的又は補助的な性格のものである場合に限る。 

(a) (i) 企業に属する物品又は商品の保管又は展示のためにのみ施設 を使用すること。 

(ii) 企業に属する物品又は商品の在庫を保管又は展示のためにの み保有すること。 

(iii) 企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のた めにのみ保有すること。 

(iv) 企業のために物品若しくは商品を購入し又は情報を収集する ことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。 

 

企業の拠点の活動が準備的、補助的な性格の活動の場合の場合には、上記に当てはまる場合でも、PE認定されません。典型例は駐在員事務所などです。駐在員事務所(Liason Office)では、 インド準備銀行などに届け出た内容の活動しか許されず、原則として営業活動は許されません。駐在員事務所は5152によって場所PEがあると認定されそうなものですが、本件規定でいう準備的・補助的な性質(preparatory or auxiliary character)の活動に限定されているため、PEと認定されません。もちろん、営業活動によって本国企業のために利益を上げた場合には、5条2の「支店」や「店舗」に該当するとしてその利益にPEとしての課税がなされることとなります。

 

7、代理人PE(Agency PE)(57)

日印租税条約57(a)には以下のような規定があります。英語では代理人PEについて、下の独立代理人と区別する意味も込めて、Dependent Agency Permanent Establishment (DAPE)などといいます。

条約第五条の規定にかかわらず、BEPS防止措置実施条約第十二条 2の規定が適用される場合を除くほか、一方の締約国内において企業に代わって行動する者が、そのように行動するに当たって、反復して契約を締結し、又は当該企業によって重要な修正が行われることなく日常的に締結される契約の締結のために反復して主要な役割を果たす場合において、これらの契約が次のいずれかに該当するときは、当該企業は、その者が当該企業のために行う全ての活動について、当該一方の締約国内に恒久的施設を有するものとする。 ただし、当該活動が当該企業により当 該一方の締約国内に存在する当該企業の事業を行う一定の場所で行われ たとしても、条約第五条の規定に規定する恒久的施設の定義に基づいて、 当該事業を行う一定の場所が恒久的施設を構成するものとされない場合 は、この限りでない。 

(a) 当該企業の名において締結される契約
(b) 当該企業が所有し、又は使用の権利を有する財産について、所有権を移転し、又は使用の権利を与えるための契約 

(c) 当該企業による役務の提供のための契約 

 

この条項は、202041日より新たに発効することとなる、MLIによる修正後の租税条約においてもっとも重要な変更のあった部分と言っても過言ではありません。PE認定のための要素は、

[A]

(1)一方の締約国内において企業に代わって行動する者が、

(2)反復して契約を締結し、

(3)その契約が(a)(b)(c)のいずれかに当たること、

または、

[B]

(1)一方の締約国内において企業に代わって行動する者が、

(2)当該企業によって重要な修正が行われることなく日常的に締結される契約の締結のために反復して主要な役割を果たすこと、

(3)その契約が(a)(b)(c)のいずれかに当たること

と分解できます。

これが適用される状況の例としては、日本法人がインド顧客に対して製品を販売するに際して、インド子会社による販売・マーケティングサポートをしている場合に、インド法人が日本法人に代わって反復して契約を締結したり、契約締結のための主要な役割をしたりする状況が考えられます。この場合、インド子会社が日本法人の代理人PEに認定されると、日本法人は、インド顧客から受ける製品の対価の内、総利益の40%以上をインドで納税する必要が生じます。(*5)これは、インド顧客が支払いの際にインド政府に対して源泉徴収して支払われることとなります。

 

MLIの導入によって、[B]が新たに導入されたことが一番大きな変更点です。

「主要な役割を果たすこと(play a principal role)」という条項が入ったことで、インドにおいて、日本法人の代理人PE(DAPE)が認められる範囲が広範になりました。これは、BEPS行動計画7の内容である、「恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止」を達成するために、状況を実質的に判断しようとする流れから来ています。

「主要な役割を果たすこと(play a principal role)」の明確な定義は条文には書かれていません。OECD発表のガイダンス資料によると、以下が考慮するべき事項となっていることが伺えます(*6)。

 

[状況]

・日本法人がインドに子会社を持っている状況です。日本法人がインド顧客に物品やサービスを販売しています。インド子会社が日本法人のマーケティング・サポートを行っています。日本法人は、コミッションとして販売益の一部をインド法人に支払います。

[「主要な役割」等の認定やPE帰属利益算定のための留意点]

・インド子会社が顧客の発見(identify)、契約の締結の勧誘(solicite)、顧客の注文に応じた契約の締結(placing and processing customer order)を行なっているときはPE認定のリスク及びPE帰属利益の認定リスクは高まります。

・インド子会社が日本法人の策定したマーケティングや広告戦略をインドで実行している場合にはPE認定のリスク及びPE帰属利益の認定リスクは高まります。

・日本法人がインド顧客との契約の締結及びインド顧客からの支払いの受取、信用リスク(credit risk)の負担をしている場合には状況にもよりますが、認定されにくくなる方向になります。

・日本法人がインド法人のマーケティング業務の対価としてコミッションを支払う場合、これが小さすぎるとPE認定のリスク及びPE帰属利益の認定リスクは高まります。

・インド法人と顧客との間で、日本法人より、販売ライセンスが独占的に与えられるような場合にはPE認定のリスク及びPE帰属利益の認定リスクは高まります。

・インド法人が日本法人の販売する製品の在庫を管理する場合(在庫リスク(inventory risk)をインド法人が負担する場合)にはPE認定のリスク及びPE帰属利益の認定リスクは高まります。

・製品が日本法人からインド顧客に引渡されるまでの過程の製品への所有権等の権利を保有する場合、インド法人がPE認定されるリスク及びPE帰属利益の認定リスクは高まります。

・日本法人がインド法人のサポートによって販売される製品以外にインドで製品を販売していない場合、PE認定のリスク及びPE帰属利益の認定リスクは高まります。

 

 

上記は、PEの有無だけでなく、PE帰属利益の割合を評価する際の指標ともなるものです。インド子会社がPEと認定されるかどうかというのは、実はそれ自体大きな問題ですが、それと同じくらい、PEへの帰属利益がどの程度なのかという点も重要です。

上記の点は、考慮要素の一例であり、契約状況によってはPEリスクを低減する方向にも上昇させる方向にも動きます。

 

8、独立代理人の場合の例外規定(Independent Agent)(58)

日印租税条約5条8

2 BEPS防止措置実施条約第十二条1の規定は、一方の締約国内にお いて他方の締約国の企業に代わって行動する者が、当該一方の締約国内 において独立の代理人として事業を行う場合において、当該企業のため に通常の方法で当該事業を行うときは、適用しない。ただし、その者は、 専ら又は主として一又は二以上の自己と密接に関連する企業に代わって 行動する場合には、当該企業につき、この2に規定する独立の代理人と はされない。 

 

上記の日印租税条約57代理人PEに関する規定は、インド側での日本法人の代理人が、日本法人から全く独立した当事者出会った場合には適用しないというものです。

 

9、関連当事者に関する規定(59)

日印租税条約59

 条約第五条の規定の適用上、ある者とある企業とは、全ての関連する 事実及び状況に基づいて、一方が他方を支配している場合又は両者が同 一の者若しくは企業によって支配されている場合には、密接に関連する ものとする。いかなる場合にも、ある者とある企業とは、一方が他方の受 益に関する持分の五十パーセントを超えるもの(法人の場合には、当該 法人の株式の議決権及び価値の五十パーセント又は当該法人の資本に係 る受益に関する持分の五十パーセントを超えるもの)を直接若しくは間 接に所有する場合又は他の者がその者及びその企業の受益に関する持分 の五十パーセントを超えるもの(法人の場合には、当該法人の株式の議 決権及び価値の五十パーセント又は当該法人の資本に係る受益に関する 持分の五十パーセントを超えるもの)を直接若しくは間接に所有する場 合には、密接に関連するものとする。 

 

日本法人がインド法人の株式を50%以上保有している場合など、一定の場合にはインド法人を日本法人の「密接に関連する者」(a person closely related to an enterprise’)と規定して、PE認定の対象とするという規定です。

 

*0[https://www.forbes.com/profile/masayoshi-son/?list=billionaires#5fc9a28b3818]

[https://www.indiatvnews.com/business/news-mukesh-ambani-reliance-zero-net-debt-firm-ahead-of-schedule-613175]

*1[http://www.oecd.org/tax/treaties/beps-mli-position-india-instrument-deposit.pdf]

*2[https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/press_release/index.htm]

*3[Foreign Exchange Management (Establishment In India Of Branch Or Office Or Other Place Of Business) Regulations, 2000 の第7条]

*4「インドの会計・税務・法務 第3版」(新日本有限責任監査法人) p179

*5[https://www.incometaxindia.gov.in/Pages/i-am/foreign-company.aspx]

*6[https://www.oecd.org/tax/transfer-pricing/BEPS-discussion-draft-on-the-attribution-of-profits-to-permanent-establishments.pdf]