5月4日から5月17日までLockdown第3弾に突入
1、2020年5月1日にインド政府はロックダウン延長を決定。
2020年5月1日、Ministry of Home Affairs(総務省)は、インド全土でのロックダウンを2週間延長することを決定しました*1。3月22日にロックダウンその1、3月25日-5月3日がロックダウンその2、5月4日-5月17日がロックダウンその3がなされたということになります。ロックダウンその2はかなり厳格にインド全土を封鎖するというものでしたが、その3は地域ごとに厳格さを分けており、経済活動に相当程度配慮したものとなっています。
以下の通達を見る限り、インド政府の方針としては、今までの全国で完全封鎖という方針は撤回されています。そして、感染が拡大している地域では厳格なウィルスの移動の管理をしてかつ経済活動も行い、感染の少ない地域では最大限に経済活動を認めて雇用を生み出すという方針になっています。
Aarogya Setuという政府公認のアプリがあり、これが登録者の移動した情報や他の登録者との接触の情報を全て把握できるようになっています。この使用は今までは推奨というレベルに留まっていたのですが、今後は、封じ込めゾーンと事業を再開した職場では基本的に強制となることが定められています。
インドのような、人口に比して医療施設が少ない環境で、経済活動を行いつつコロナも封じ込めるとなると、このような最先端のテクノロジーを用いることが最適といえるでしょう。フランスや日本ではこのようなアプリの仕様はプライバシーや個人情報保護の観点から見送られましたが、中国ではこれが導入され、コロナ封じ込めのために一定の成果を挙げているといいます。*2
僕もこのアプリを導入したのですが、20秒で問診を終えた後はただ放置するだけです。そのうち僕がコロナウィルス保有者と接触した時にはアラートが送られる予定です。とにもかくにも、インドでの一刻も早い経済活動の再開が望まれます。
*2[https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00187/]
2、2020年5月1日通達の概要
(1)、ロックダウンは5月4日から2週間延長します。全国をグリーンゾーン、オレンジゾーン、レッドゾーン、に分けて、別々の規制を敷きます。
(2)、各ゾーンの振り分け方
・グリーンゾーン:過去21日でコロナ患者の確認件数が0の地域
・オレンジゾーン:レッドゾーンとグリーンゾーン以外の地域
・レッドゾーン:保健家族福祉省(Ministry of Health Family welfare)及びインド中央政府(Government of India)が治療中の件数、確認件数が2倍になるスピード、調査のフィードバック等、を考慮に入れて決定された地域。ホットスポットと同義。
(3)、Containment Zone (封じ込めゾーン)の決定
・州政府が保健家族福祉省のガイドラインに従ってオレンジゾーンとレッドゾーンの中に封じ込めゾーンを指定します。
・封じ込めゾーン内では、Standard Operating Protocols(運営の基本指針)を定めること。
・封じ込めゾーン内ではAarogya Setu(आरोग्य सेतु、健康への架け橋)というアプリを全ての人が使用するように地方当局が徹底することとされています。このアプリはアプリ登録者の位置情報とブルートゥースの両方を用いて、人々の接触を記録し、人の感染が確認されると、その人と数日以内に接触した人に対してアラートを発するというアプリです。これは3月から政府が推奨していたアプリで、現在5000万人以上がダウンロードをしたとのことです。
(4)、以下の行為は全国で禁止されます。
一定の緊急の場合を除き、国内及び国際航空便の運航停止。
一定の許可された場合を除き、原則としてバス、電車、地下鉄の運航停止。
緊急の場合を除いて州間移動の禁止。
オンラインを除き学校や塾、訓練施設、コーチングの禁止。
ショッピングモールや映画館、バー、ホール、遊園地、プール等の閉鎖。
(5)、人々の健康と安全のための規定
・午後7時から午前7時までは移動禁止。警察は刑事訴訟法百四十四条の適用も辞さない。
・65歳以上の人と妊婦、10歳以下の人は原則として外出禁止。
・Out Patient Department(一般外来)はグリーンゾーンとオレンジゾーンに置いて、Social Distance を取る状態でのみ許可されます。
(6)、封じ込めゾーンでの活動
・厳格な区画の整備
・このゾーンへの入り口と出口の明確化
・物品の供給と医療サービス以外での人の移動の禁止
・検査なしの人の流入や移動の禁止
・区画内外での人の移動の記録
(7)、レッドゾーンでの活動
・リキシャ、タクシー、州間及び州内部のバスの運行、床屋やスパの禁止
・自家用車等は一定の許可された目的のためのみ許容。4輪車は2人まで乗って良い。バイクの2人乗りは禁止
・レッドゾーン内部でも封じ込めゾーンでないなら、SEZ(経済特区)、EOUs(輸出特区)、での商業活動、ITハードウェアなどの一定の製造業、全ての地方部(rural areas)での工場稼働、等が認められます
・都市部(urban areas)での建設業は一定の条件のもとで許容。地方部での建設活動は全て許容。
・都市部でのモールやマーケットは閉鎖
・Eコマースは必需品のみ
・民間企業のオフィスは33%の出勤率で稼働して良い
・一定の政府機関は副署長クラスのみ100%出勤可能。他は33%の出勤率でのみ許容。ただし、保健、防衛、警察、関税当局、FCI、NCC、NYK等は制限なく出勤して良い
(8)、オレンジゾーンでの活動
・州間及び州内部でのバスの移動は禁止
・タクシーは運転手1人に対して乗客1人の場合のみ許容
・自家用車による州内の移動は運転手1人に対して乗客2人まで
(9)、グリーンゾーンでの活動
・項目4で禁止されたもの以外は原則として許容
・バス停及びバスは使用率50%で運行可能
(10)、他の活動は各ゾーンの規制により特に禁止されていない限り許容されます。ただし、状況に応じて州政府が一定の規制を設けることは可能です
(11)、貨物輸送は全面的に許容されます
(12)、鴨輸送に関する州間移動は取り締まられません
(13)、5月3日までに事業の再開の許可を得た事業者等は新たな許可を録り直す必要はありません
(14)、2005年災害対策法(Disaster Management Act, 2005)の元政府から発せられたガイドラインは厳格に運用される必要があります。
(15)、上記の規制の実効性を担保するため、一定の指示が定められ、当局が動きます
・公共の場ではマスク着用義務化
・公共の場に5人以上で集会しない
・結婚に関する集会は50人まで
・葬式に関する集会は20人まで
・公共の場で唾を吐くと州政府の規定により罰金を課します
・公共の場での酒、paan、水タバコ、タバコは禁止
・酒、paan、水タバコ、タバコを売る店では6フィートのソーシャルディスタンスを取り、店の中には一時に最大5人までとする
・職場ではマスク着用義務化。職場として用意すること
・職場及び通勤においてソーシャルディスタンスの義務化
・従業員の勤務交代のときにもソーシャルディスタンスを確保できるようにしておく
・職場に非接触の体温計と消毒液を用意すること
・十分な消毒
・65歳以上の人と妊婦、10歳以下の人は原則として外出禁止
・使用者は従業員が職場に置いてAarogya Setuの使用率が100%となるよう確保すること
・大規模な直接面会でのミーティングは禁止
・職場に最寄りの病院のリストを置くこと。COVID-19患者と思われる従業員をすぐに検査、隔離、医療施設に安全に送る設備を整えておくこと。
・通勤の際にソーシャルディスタンスを保てない従業員のために一定の交通手段を確保すること
・従業員の間の緊密なコミュニケーションと消毒の励行をすること
(16)、罰則規定も定められています
災害対策法五十一条から六十条
刑法百八十八条
には注意をする必要があります。
3、主なレッドゾーン、オレンジゾーン、グリーンゾーン(2020年5月1日時点)
日本企業が多い場所でも多くがレッドゾーンまたはオレンジゾーンになっています。
これらに含まれる地域の方は自分の住居や職場が封じ込めゾーン(Containment zone)に含まれていないかチェックする必要があります。
DELHI
District Zone
South East Delhi Red Zone
Central Delhi Red Zone
North Delhi Red Zone
South Delhi Red Zone
North East Delhi Red Zone
West Delhi Red Zone
Shahdara Red Zone
East Delhi Red Zone
New Delhi Red Zone
North West Delhi Red Zone
South West Delhi Red Zone
GUJARAT
District Zone
Ahmedabad Red Zone
Surat Red Zone
Vadodara Red Zone
Anand Red Zone
HARYANA
District Zone
Sonipat Red Zone
Faridabad Red Zone
Gurugram (Gurgaon) Orange Zone
Nuh Orange Zone
Panipat Orange Zone
Panchkula Orange Zone
Palwal Orange Zone
Rohtak Orange Zone
Hisar Orange Zone
Ambala Orange Zone
Jhajjar Orange Zone
Bhiwani Orange Zone
Kaithal Orange Zone
Kurukshetra Orange Zone
Karnal Orange Zone
Jind Orange Zone
Sirsa Orange Zone
Yamunanagar Orange Zone
Fatehabad Orange Zone
Charkhi Dadri Orange Zone
Mahendragarh Green Zone
Rewari Green Zone
MAHARASHTRA
District Zone
Mumbai Red Zone
Pune Red Zone
Thane Red Zone
Nashik Red Zone
RAJASTHAN
District Zone
Jaipur Red Zone
Jodhpur Red Zone
Kota Red Zone
Ajmer Red Zone
Bharatpur Red Zone
Nagaur Red Zone
Banswara Red Zone
Jhalawar Red Zone
Tonk Orange Zone
Jaisalmer Orange Zone
Dausa Orange Zone
Jhunjhunu Orange Zone
Hanumangarh Orange Zone
Bhilwara Orange Zone
TAMIL NADU
District Zone
Chennai Red Zone
Madurai Red Zone
Namakkal Red Zone
Thanjavur (Tanjore) Red Zone
Chengalpattu Red Zone
UTTAR PRADESH
District Zone
Agra Red Zone
Lucknow Red Zone
Saharanpur Red Zone
4、ハリヤナ州グルガオン近辺の主なContainment zone(封じ込めゾーン)は以下の通りです。
Gurgaon containment zone(24 April 2020)
Blockwise list of 24 containment zones
A Gurugram Block
1 Jharsa village
2 Sector 39
3 Sector 47
4 Devi Lal Colony
5 Sun City Sector 54
6 Sarhaul Village
7 Tyagiwara Badshahpur
8 Meghdoot Apartment
9 Sector 10 A
10 Om Nagar
B Sohna Block
1 Gehlot Vihar
2 Javed Colony
3 Pahar Colony
4 Nut Colony
5 ITI Colony
6 Mohalla Bhood Para
7 Mohalla Thakurwara
8 Tripat Colony
9 Shiv Kund
10 Bhagat Wada
11 Raipur village
C Pataudi Block
1 Ward 11
2 Ward 14
3 Ganpat Vatika